子どもたちと一緒に過ごしていると、突然ハッとするようなシンプルな質問をされることがあります。人生で大切なことに向き合うきっかけをくれたり、究極の問いに気づかせてくれたり。その純粋さから学ぶこと、気づかされることは本当にたくさんあります。
先日、単発バイトで発達障害のある子どもたちが通うデイケアセンターに、ヘルプに入ったときのこと。
小学校4年生の女の子と話していたとき、突然こんなことを聞かれました。
「どうして◯◯デイケアに来たの?」
なんの前触れもなく尋ねられて、一瞬、時が止まりました。確かに——そういえばどうして私は今ここにいるんだろう?
頭の中で自分との対話が始まりました。そして同時に、「この子にはどう答えるのがいいかな」とも考えました。
「◯◯ちゃんのこと、子どもたちが好きだからだよ。」
と、とっさに答えました。
でも内心では本当にいろいろなことを考えはじめてしまって、答える余裕もなかったのでその続きの会話もうろ覚えです。
その日は単発バイトでそこにいたこともあり、現実的には生活のための“お仕事”でもあります。とはいえ子どもに向かって、
「お金を稼ぐために来たよ」とも言えませんよね。
帰りの電車の中で、あの質問の余韻がずっと頭の中をめぐっていました。きっと、子どもの何気ないひと言が大人の中に眠っていた“原点”を思い出させてくれるんだと思います。
その子とは絵を描く時間もありました。◯◯ちゃんは絵を描くのが大好きで、「先生も何か描いてー」と言ってくれたので、
少しゲーム感覚で、目をひとつ描いたり輪郭の半分を描いたりしながら、
「これなーんだ?」と当てっこをしていました。
アンパンマンとドラえもんは見事に正解!今度は「キャラクターじゃなくて人がいい」と言われ、女の子の絵を描いてみると…
「それって一番真剣に描いてそれ?」
……その言葉がナイフのように刺さりました(笑)。
平然を装って「うん、そうだよ」と答えると、「こうやって描くんだよ」と彼女がレクチャーしてくれました。素直でまっすぐで、ちょっと可愛くて、正直なその反応に思わず苦笑いしてしまいました。
そしてもうひとつ印象的だったのが、マスク越しの会話。デイケアでは常にマスクをしていなければならなかったのですが
「マスクの下ってどんな顔してる?」
と聞かれたので、少しマスクをずらして見せたところ
「へえー、若いときはきっと可愛かったんだろうな。」
……衝撃の一言(笑)。
アラサーとはいえ20代の私は、英語教育学会でも、小学校でも、町内会の行事でも、たいてい一番下っ端であることが多く、
“若い頃は”なんて言われたのは人生で初めてでした。
「そうか、もうそう見える年齢なんだなあ」と、なんとも言えない気持ちになりました。
子どもたちの言葉には、
時に大人の心をズバッと突く鋭さがあってナイフのようですが、同時に、笑いと優しさもくれます。
だから私は、やっぱり子どもと関わるお仕事が好きなんだと思います。
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